今回は、前回の産後編・陣痛編に引き続き、助産師の経験を持つリス子さんに臨月時に活用できるアロマについてお話をしていただきます。
それではリス子さんよろしくお願いいたします!
初めまして、リス子と申します。私は、母子周産期医療センターで助産師として4年間ママと赤ちゃんのケアをさせていただいていました。
この記事にたどり着いたママ達は、いよいよ臨月となり、赤ちゃんに会える日が近づいていると思います。
この時期のママたちの心配事といえば、元気に赤ちゃんがお腹の中で成長してくれることから、「いつ陣痛がやってくるのか」にシフトしていきます。
巷では、焼肉を食べたり、栄養ドリンクを飲んでみたりといった陣痛を引き起こすといわれているジンクスの情報が山ほど。
すでに試した方も多いのでは…。
焼肉などのジンクスはあくまでジンクスなので、特に根拠はありません。しかし、エネルギーの源となるので、その後のお産にはとても良いと思います。
実は、アロマオイル(精油)にも、陣痛を引き起こしてくれる働きがあるということをご存知でしょうか?
アロマの効能には、リラックスだけではなく、臨月のママにも嬉しい作用があるんですよ。
この記事では、助産師経験を持つ私リス子が
- 臨月にアロマがおすすめな理由は?
- 臨月に使えるアロマオイル(精油)の種類は?
- 安全な使い方や注意点は?
など、臨月時の効果的なアロマ活用法について紹介していきます。是非参考になさってください。
Contents
臨月にアロマがおすすめな理由
それでは、さっそく臨月にアロマがおすすめな理由をお話していきます。

臨月を迎えると、いつ陣痛が始まってもおかしくはありません。ふとしたお腹の張りも、陣痛の始まりなのではないかとそわそわしてしまう頃…。
妊娠40週に近づくにつれ不安になってしまいますが、ここで焦りは禁物。
赤ちゃんは、ちゃんと自分でママのお腹から出てくるタイミングを見計らっています。
臨月を迎えたら赤ちゃんの頭が降りてきやすいように、ウォーキングやスクワットをしたり、股関節を開くようにストレッチをしながら、リラックスして赤ちゃんと一緒にその時を待ちましょう。
さらに、臨月を迎えたママをドキッとさせるのが、「前駆陣痛」です。
この痛みは、お産に繋がる陣痛の予行演習の様なものです。
前駆陣痛を感じると、「このままお産になるのかな?」と緊張して一回一回の痛みに神経が集中してしまいやすくなります。
何分間隔で陣痛が来ているのかを知ることはとても大切なことですが、ここでじっとしていては不安と緊張が強まる一方です。
時計とのにらめっこはやめて、せっかくならこの時間もアロマの力を借りて赤ちゃんが生まれる陣痛になる様にアプローチしてみましょう。
以前、陣痛編でも書きましたが、過度に緊張することで体に余計な力が入ってしまうと痛みの感受性が強くなって不安を助長させてしまいます。
いざ陣痛が始まった時も落ち着いて望めるように、リラックス効果のあるアロマを準備しておけば強い味方になってくれます。
また、アロマ(精油)の種類によっては、赤ちゃんがスムーズに生まれてくるように、陣痛を整えてくれる作用がある香りもあります。
臨月のママにとって、アロマはとても心強いパートナーなんです。
臨月に使えるアロマオイル(精油)の種類は?
私、リス子が産院で使ってきた臨月ママさんにおすすめな精油を紹介します。
クラリーセージ
初めにご紹介するのは、濃厚でナッツのような香りがするクラリセージです。
クラリーセージに含まれる「スクラレオール」という成分が女性ホルモンの1種であるエストロゲンと似たような働きをします。
子宮の収縮を引き起こす作用があるので、陣痛待ちの臨月ママにはお勧めな香り。
他にも、痛みを和らげる鎮痛作用と幸福感を感じさせてくれる作用もあるので、前駆陣痛が始まった時にもママの心と体をサポートしてくれます。
また、特に相性がいいとされる、ゼラニウムとのブレンドがお勧めですよ。
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ジャスミン
ムスクにも似た濃厚な甘い香りと、エキゾチックな香りが特徴的なアロマオイル(精油)です。
ジャスミンには、女性ホルモンを調整してくれる作用があり、古くから「子宮のハーブ」とも呼ばれていました。
高価なアロマオイル(精油)ですが、とても濃厚な香りなので少量でもしっかりとそのパワーを発揮して、子宮の収縮をサポートしてくれます。
産院では、陣痛が弱まって間隔が空いてきてしまった時にもよく用いられます。
ジャスミンの香りが、弱まった陣痛を呼び戻してくれるので、臨月から出産までの強い味方になってくれますよ。
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パルマローザ
フローラルな優しい甘さを感じさせる香りのアロマオイル(精油)です。
「ゲラ二オール」という成分が子宮の収縮を促進して陣痛をサポートしてくれます。
ローズにも同じ成分が含まれており、ローズの代用品としても使用されることも。ローズの華やかでフローラルな香りが好みの方にはお勧め。
また、心のバランスを整えてくれる作用もあるので、臨月に入って緊張し始めたママの心を落ち着けてくれる働きもあります。
お腹の赤ちゃんと一心同体で過ごせるのもあと少し。最後のマタニティライフをリラックスしながら過ごしましょう。
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ラベンダー
爽やかでフローラルな香りのするアロマオイル(精油)です。リラックス作用が高いアロマとして、とても有名な精油の一つです。
ラベンダーには、緊張や不安を和らげて、痛みも緩和してくれる作用があります。また、リラックスのイメージが強いラベンダーですが、子宮の収縮を促進して陣痛を強めてくれる作用もあります。
お産で大切なことは、いかにリラックスできるかです。
しかし、実際に陣痛が始まると初めてのことに気持ちがついつい焦ってしまうもの…。
臨月に入ったら、お産の流れをイメージしながらラベンダーを使ってリラックスする練習も効果的です。
ちなみにこの記事の中ではラベンダーが安価で、お試ししやすいです。(詳細は画像をクリック↓)
フランキンセンス
スパイシーな香りとすっきりとした香りを持ち合わせているアロマオイル(精油)です。
肌の収れん作用が高いことから、化粧水などによく使用されています。
フランキンセンスには、子宮収縮を促進して陣痛を強めてくれる作用と呼吸を整え、深くしてくれる作用があります。
お産と呼吸はとても大切なポイント!
人は緊張してしまったり、痛みを感じてしまうと人は息を止めてしまいがちに。
しかし、呼吸を止めてしまったり、浅くなってしまうと全身の筋肉が硬くなってしまいます。そして痛みも感じやすくなってしまうのです。
何よりも困ってしまうのは、赤ちゃんが出てくる子宮口も硬くなってしまうことです。
フランキンセンスを使ったリラックスタイムでは、吸う息よりも吐く息を長くしてゆっくり呼吸をしてみましょう。
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アロマを使うと、眉間のシワがふっと柔らかくなる姿もよく目にします。
柑橘系のアロマのコットンボールをお渡しした方には、「陣痛が長くて朦朧としてたけど、気分がさっぱりした。」という感想もいただいたことがあります。
安全な使い方や注意点もチェック!
それでは、臨月時の安全なアロマ(精油)の使い方と注意点を紹介します。
アロマを日常に取り入れて、リラックスをしながら過ごすことは、臨月の精神的なサポートだけではなく、体の余計な力が抜けて赤ちゃんが出てくる子宮口を開きやすくしてくれる働きがあります。
沐浴法
沐浴法には、アロマを使って体を洗い清めることで
- 手浴
- 足浴
- 全身浴
があります。
出産後は、感染予防のためにママは1ヶ月検診まで湯船に浸かることができません。
最後のバスタイムになるかもしれないので、アロマの香りでリラックスしながらゆっくり楽しんでください。手浴や足浴などの部分浴だけでも効果的。
その際には、手の親指と人差し指の間にある合谷と呼ばれるツボを一緒に刺激してみてくだださい。足の内くるぶしから指4本分上の三陰交と呼ばれるツボの刺激もお勧め。
体を温めることは、血行を良くして陣痛を強めてくれる働きがあります。
逆に、体が冷えているとせっかく陣痛が来ても弱いままだったり、すぐに収まってしまうことも…。
赤ちゃんが生まれてくるまでの時間は個人差があります。
まず、食事が摂れていない人はゆっくりと食事を摂り、食事が済んでいる人は、沐浴法をしてみましょう。
【簡単な手浴・足浴の方法】
- 両手や両足が入るなるべく大きく深めのバケツ(洗面器もOK)を準備
- 冬場は約40℃~42℃(夏は38℃~40℃)のお湯をバケツに入れる(足のくるぶしが隠れる程度)
- 5mlのキャリアオイルor乳化剤にアロマオイル(精油)2~3滴を混ぜる
- お湯に入れよく混ぜる
- 約10分~15分足浴をしてリラックス
芳香浴法
臨月に入ると余計に夜間の寝つきが浅くなって来ます。
これは、単純にお腹が大きくなって来て眠りづらいということの他に、産後の赤ちゃんとの生活に備えて体が調整をしているからです。
ここでスマートフォンを見てしまうと、ブルーライトの力でさらに覚醒してしまいます。
そんな時は、リラックスと入眠効果のあるアロマを活用しましょう。
タイマー付きのアロマディフューザーを利用すれば、途中で眠ってしまっても安心です。
また、臨月になるといつ陣痛が来るんだろうと心配になって一日の大半を部屋の中で過ごすママも増えて来ます。
しかし、あまり気にかけすぎてしまうと、余計に焦ってストレスを感じてしまうもの。
体に力が入っていると、子宮の出口も柔らかくなりません。
リラックス効果と陣痛を強めてくれる作用のアロマをブレンドして、部屋に香らせてみましょう。
そして、マタニティヨガや腰回しなどの運動をして赤ちゃんの頭が下に降りて来やすい環境を整えてあげてください。
入眠効果のあるアロマをブレンドすることによって、陣痛の合間の休息をサポートしてくれます。
陣痛の合間に少しでも眠れることは、体力回復にとても効果的です。
長丁場のお産は体力勝負です。眠気があるのなら眠るように促します。
よく眠っても大丈夫なのかと心配される方がいますが、陣痛のたびに覚醒しますし、
生まれる時まで気付かずに寝ている人はいないので大丈夫です。
湿布法
臨月のママに試してもらいたい湿布法は、お湯にアロマを垂らして作った温かなタオルを身体にあてがう方法です。
臨月になるとお腹の赤ちゃんの体重もより重くなっています。ママの体もそれに合わせてバランスを取ろうする為、姿勢が崩れてしまうことも…。
このため、腰や肩のコリがひどくなってしまうママも多かったです。
そんな時は、温湿布がお勧め。アロマのリラックス作用が筋肉にじんわりと浸透し、相乗効果となってコリをほぐしてくれます。
この方法は、産後のママの体にも効果的。特に、産後は首元への温湿布がお勧めです。
首から肩甲骨にかけては、おっぱいの分泌に関わる大事な血管がたくさんあります。ここを温めてあげることで、母乳分泌を活発にさせることができます。
安全に使う上での注意点
臨月に使えるアロマで説明したアロマにブレンドすると効果的なものに、ペパーミントがあります。
アロマ初心者の方も、ペパーミントなら馴染みがあるという方も多いのではないでしょうか。
しかし、ペパーミントの精油を使う時には注意が必要です。
ペパーミントには、血圧を上昇させる作用があります。妊娠中から「妊娠高血圧症候群」を指摘されているママは使用しないようにしましょう。
また、血圧について先生から指摘されていない人でも気がつかないうちに血圧が上昇してきてしまう場合があります。
以下の症状があった場合は注意が必要です。
- 目の前に火花が散っているようにチカチカする。
- 頭が痛い。
この様な症状が出てきている時は、血圧が上昇しているサインの場合があります。
また、陣痛で痛みが強くなったり、産後の疲労が蓄積してきても血圧が上がりやすくなります。
病院でこの様な症状が出た際は、すぐにスタッフに声をかけてください。
血圧を測定し、必要であれば医師の診察を受けて血圧を下げる薬を使用します。
自宅でこの様な症状が出た時は、まずは部屋の明かりを暗くして横になりましょう。
また、スマートフォンの使用もブルーライトが刺激になってしまいます。すぐに止めて目をつぶり、ゆっくり深呼吸をしましょう。
30分ほど休んでも改善しない場合や、どんどんひどくなる場合は病院へ連絡しましょう。
妊娠高血圧症候群は、妊娠期だけではなく産後に発症する場合もあります。
すっきりとした香りは気分転換にぴったり。お産が進むと、吐き気を催すママもいるので、そんな時に吐き気を抑えてくれる効果が期待できます。
大事な時期ですし、ママさんのメンタルの状態を極力安定化させることが大事ですね。
はい!臨月のママや、陣痛がやってきて入院してきたママには、助産師からはこう声をかけたりします。
「お腹の中にいる赤ちゃんと過ごすのはこれで最後。生まれれば胎動も感じられなくなってしまう。だから、この最後のひと時を大切に過ごして」と。
陣痛が始まった際には、よりリラックスした空間を作り出すために、部屋を薄暗くして光の刺激を緩和したり、音楽をかけたり、好きな香りのアロマを使って過ごしてもらいます。
慣れない分娩室の中で過ごすことはママにとっては、それだけでストレスです。
助産師が言葉で
「なるべく力を抜いてリラックスしてね。」
と声をかけても、頭ではわかっていても、痛みがくると体はなかなかいうことを聞いてくれません。
しかし、好きな香りのアロマや陣痛時に効果的なアロマを使用することで、今まで上手に抜くことができなかった力をふっと抜けるようになったママを見てきました。
分娩室で初めてかぐ香りよりも、臨月から親しみのあるアロマの方が落ち着き安い印象です。
陣痛や出産は怖いものではなく、愛しい赤ちゃんと会えるまでのステップだと感じてもらえることが大切です。
アロマはそのサポート役の一つになってくれます。
まとめ
今日は、助産師経験があるリス子さんから臨月時に活用できるアロマについて教えていただきました。
☆臨月時に活用できるアロマ(精油)は
- クラリセージ
- ジャスミン
- パルマローザ
- ラベンダー
- フランキンセンス
☆安全な使い方
- 沐浴法(もくよくほう)
- 芳香浴
- 湿布法
☆注意点
- ペパーミントには、血圧を上昇させる作用があるため、「妊娠高血圧症候群」を指摘されているママは使用を避ける。
- 目の前に火花が散っているようにチカチカする場合や頭痛がする場合は「血圧上昇のサイン」の場合があるため、医師に相談する。
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最後までお読みいただき
ありがとうございました。